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第6回ネット歌会詠草/28
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2011年07月01日
第6回ネット歌会詠草/29
院内の待合室は閑散として主治医の遅れを淀みに待つ
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おそらく写実詠なのだろう。説明的・散文的なものを超えた索漠とした感覚は多少伝わるが、いささか平板に流れてしまったように思われる。
韻律については、作者の意識としては「院内の/待合室は/閑散として/主治医の遅れを/淀みに待つ」と読ませたいのだろうか。破調の効果もあまり功を奏しているとは言い難い。
結句「淀みに待つ」は割といいと思った。知る人もいない、空気が淀んだような昼なお薄暗い限定的な空間に、為すところなく独りぽつねんと坐して待っている感じか。
ただ、着地であるから、特段の意図がなければ、例えば「淀みに待てり」とか、ここはきっちり七音で決めてほしいところだ。
勝手なことを申し上げると、上手く推敲すれば、サミュエル・ベケットの「ゴドーを待ちながら」のような普遍的で高度な表現になり得るポテンシャルを感じるモチーフであり、イメージだと思った。
Posted by 坂本野原 at 2011年07月15日 11:30
>院内の待合室は閑散として主治医の遅れを淀みに待つ
わたしも、結句「淀みに待つ」には惹かれますけれど、破調がいささか坐りが悪く、坂本さんがすでにお書きのように、利いていない気がします。
「閑散として」を「閑散と」にするだけでも、定型に収まり、読みやすくなるのではないかと思いますが如何でしょうか。
またこの歌は、強い印象を植え付けることを目的としていないと思われますので、結句はやはり七音が妥当だと思います。
Posted by 弘井文子 at 2011年07月18日 16:12
主治医、というからには個人病院ではなく、総合病院、大学病院などの大きな病院を想像します。そのような病院は、通常、外来の診療時間には待合室に多くの患者が居るでしょう。しかし、本作では「閑散として」いるので、深夜早朝の外来患者が来ない時間帯(入院患者の家族が作中主体)か、あるいは過疎地区の病院でそもそも患者が少ないということが考えられます。
前評者のおっしゃるとおり、「淀みに待つ」という、やや捻った表現が目につき、魅力的です。
必ずしも定型を遵守する必要はないと思いますが、結句の一音欠けは作者の意図以上の欠落感を持って読まれる傾向があります。それを承知で結句6音で勝負するなら、その意図を尊重したいです。帳尻あわせのパテ語は避けた方がいいと思います。
Posted by 村田馨 at 2011年07月20日 13:59
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