この記事へのコメント
 他の歌とは文体が全く違う、という感じがします。
 中澤系の文体そのもの、という感じもします。電車関係を詠んでいるのと呼びかけ表現になっているのも有名な「3番線快速電車が〜」の歌をイメージしてしまいます。
 この歌のミソは、「僕から」の「僕」が二通りにとれるところで、この場合は成功しているのではないでしょうか。
 一首だけがこの文体で、あとは普通の口語短歌では変なので、この文体で踏ん張ってがんばって欲しいです。
Posted by 山寺修象 at 2011年11月05日 08:26
こういう文体の歌、中澤系というんですか。
でもかなり昔からこの文体はあるし、今ではかなり一般化してますよね。
語りかけるという<ですます体>の歌は、相手に語りかける、と同時に自分に対する祈りのようにも感じられます。訴える心が強いです。「つり革から手を離さないで、僕から手を離さないで、出発するから」というのは胸がキュンとするような感じがあって、いいですね。
でもこういう文体の歌で成功しているのは、そして評価が高かった歌というのは、これまでは、歌のリズムがある程度定型にのっとっていたことが大きいです。定型遵守というのではなく、定型をある程度踏まえて、その上で自分独自のリズムを作り上げるという操作がいるのではないでしょうか。語りかけ口調の口語短歌だからこそ、それが有効だとおもうのです。この歌、もう少し、リズムをよくすれば、もっとキュンとするような気がします。
Posted by 田宮ちづ子 at 2011年11月06日 04:38
念のために申し上げますと、「中澤系」というのは歌人の名前です。副腎白質ジストロフィーという難病と闘った末、2009年他界。享年39歳。代表歌は
  3番線快速電車が通過します理解できない人は下がって
  かみくだくこと解釈はゆっくりと唾液まみれにされていくんだ
  ぼくたちはこわれてしまったぼくたちはこわれてしまったぼくたちはこわ
など。歌集に『uta 0001.txt』。デジタル世代の走りと言われます。
私も本作を読んだ時に中澤さんの「3番線〜」を思い出してしまいました。狙いは全く違うと思うのですが、電車+命令(呼び掛け)という枠組みは「3番線〜」を思い出させるので、ちょっと損ですね。それだけ「3番線〜」のインパクトが大きいということの裏返しなのでしょうか。
「むしろ僕から手を離さないで」という部分が淡い恋心をさわやかに示しているように感じました。
Posted by 村田馨 at 2011年11月06日 20:50
心魅かれた歌でした。前回の栃波湊さんの作品でどなたかのコメントで中澤系のことを知り、この歌も似ていると思いました。村田さんの解説で中澤系という歌人の輪郭がよくわかり、歌集を読んでみたくなりました。この歌については、若い初々しい恋心が微妙にとらえられていると思います。「吊革から手を離さないで、出発します」がアナウンスで、「むしろ僕から手を離さないで」は内心の声ですね。ナイーブな恋の歌をまた期待したくなります。
Posted by さとう ひろこ at 2011年11月06日 23:26
上記のさとうひろこさんのコメント中の一行目、
「前回の栃波湊さんの作品で…」は「砺波湊さん」の誤りです。

読者の方から誤字のご指摘がありましたため、
さとうさんご本人にご訂正をお願いしたのですが、
現在までにご訂正がありませんでしたので、
やむを得ず幹事サイドの判断で訂正記事を出させて戴きました。

Posted by 歌会幹事(生沼義朗) at 2011年11月12日 05:50
砺波さん、大変失礼をいたしましてお詫び申しあげます。メールを見てなかったので、幹事さんの再三のご指摘に気がつきませんで、しかもこの欄でコメントを送信してもなかなか載らず、3回目です。お詫びがすっかり遅くなり、面目ありません。夏季集会でもお名前間違えましたのに、重ね重ねの失礼、どうぞお許しくださいませ。
Posted by さとう ひろこ at 2011年11月14日 13:56
「吊革からむしろ僕から手を離さないでください出発します」
こんなこと、言われてみたいな・・と。
 
「吊革からむしろ僕から」がsweetで、うまく決まったと思います。
Posted by 楠田よはんな at 2011年11月18日 23:37
内容的に面白い歌と思いました。作者が一番言いたいことは「手を離さないでください」だと思いますが、ここが三句目、四句目にかかっています。ここを一気に読んでしまうので、三句目がなんだったのか?という気になります。いままでの短歌なら三句目が重要視されて、そこが決まると全体がピシッと決まる感じなのですが、こういう表現があってもいい気もするし、気にもなります。作者の実験的な試みと感じました。
Posted by 近藤かすみ at 2011年11月19日 14:30
つりかわから/むしろぼくから/てをはなさ/ないでください/しゅっぱつします

 一見、破調な印象を与える歌ですが、こうして読んでみると一句の六音を除いて、(3句から4句にかけて句またがりはあるものの)見事に定型に収めています。腰の3句を句またがりにしている部分に、一読、読みのリズムの破調が強調されているように思えます。それが前評にある「三句目がなんだったのか?」という印象に繋がる『ゆるさ』を生んでいるのでしょう。この辺りに作者の工夫を感じますが、その効果についての評価はわかれる部分かと思います。
 結句の「しゅっぱつします」に表れている爽やかな決意表明に好感を持ちました。

Posted by 村上 喬 at 2011年11月19日 23:41

この記事へのトラックバック