2012年03月23日

第9回短歌人ネット歌会作者名発表

第9回短歌人ネット歌会の作者名を発表します。
なお本日から3月27日の火曜日いっぱいまで、
各作品の作者名がオープンになった上でのコメントを受け付けます。

読みがうまくできなかった作品などに関しまして、
作者の方との質疑応答などにお役立て戴ければと存じます。いうなれば感想戦です。

今回は全体にコメント数が少ないようですので、
特に詠草を提出されている方でまだコメントのない方は
是非一言述べて下さればと存じます。
ご自分の作品にでも他の方の作品にでも構いません。

もちろん、それ以外の方でもここからのご登場、大歓迎です。
皆さまの積極的なご発言で、歌会終了まで会を盛り上げて戴ければと存じます。
何卒よろしくお願い申し上げます。


【詠草】※カッコ内はルビ

1.辞めさせるとは言えなくて「卒業」という言葉に綺麗に逃げる / 伊庭日出樹

2.抽斗を開くれば舞い立つてふてふや羽化待つもののかく多くして / 青柳 泉

3.「怒鳴られた」「抱つこされた」「怖かつた」琅玕忌の主犬抱き笑まふ / さとうひろこ

4.水仙の強き香りの家を出て勤めに向かう二月の冷気 / 藤原龍一郎

5.如月をアイスピックでかち割って生まれたばかりの春を掻き出す / 照井夕佳詩

6.スタイリッシュなる革椅子にかけてゐる手ざはりよろし尻には堅し / 弘井文子

7.ひかえめな甘さもよしとひとくちの愉悦を選ぶ桃のスイーツ / 北島裕子

8.ビルの谷 夜警一人に見守られシャッターは歌う『蛍の光』/ 三田村まどか

9.残された蜥蜴の尻尾が光りだす 私はいいから逃げ延びて さあ / 海野 雪

10. 箒で掃けば掃くほど絨毯から湧くものがある、ごとくに怒る / 田宮ちづ子

11. 雪の朝学童坂をぼり来る 傘のいろいろ入り乱れおり / 渋谷和夫

12. 蠟梅のほろりと咲きて目に愛でつマスク越しなる今年の春は / 春野りりん

13. ゲシュタルト崩壊きざすまで見詰む「私有地につき・・・」の「私」の一文字を / 斎藤 寛

14. 死者たちのうへを歩いてきた時間けふ海の辺に雛(ひひな)を流す / 大室ゆらぎ

15. <夏の雲公園>歩く夕暮れのあなたの影に感じてる四季 / 平井節子

16. 問題は単純ゆえに深刻で集合十分前に起きたり / 生沼義朗

17. 小さくちさく光れる雪が舞ひとべり氷点下五度の日ざしのなかを / 永井秀幸   

18. 凶器など持ちしことなき顔をしてペットボトルのお茶を飲みゐる / 西橋美保

19. 四日(よか)の月のすべらかなへりにぎんいろの治部坂の見ゆ 明日は雪らし / 花鳥 佰

20. 「やさしさ」を口にすれば偽善なるわれにきずきてしばし戸惑う / 竹田正史

21. 筋萎縮性側策硬化症ではないと言われたる身をゆつくりと寝かす / 山寺修象

22. 粘の字が枯の字に見えて日が変はるわたしをしまふ頃合ひならむ / 近藤かすみ

23. 原種返りしたのか足下に縮こまり紫濃ゆくビオラは咲きぬ / 保里正子

24. いちまいの厚さを噛みて感じつつ海苔を噛みたり唇閉ぢて / 來宮有人

25. 俯きて刺し子縫ひゐる老い妻の静かなるさま苦界のごとし / 西王 燦

26. かはいいとゆふべあなたが言ひしかば風呂場で泡をたてる手のひら / 高松 霞

27. 母去りぬ後の食には彩なくて素材としての味のみと酒 / 佐々木ゆか

28. ひととせの春夏秋冬ひとりなり銀河をわたる笹舟になる / 間 ルリ

29. あの曲り角の鈍角やさしくて「行っちょいで」と見送られてみんな / 勺 禰子

30. こめつぶをひとつぶひとつぶ数えつつごはんをたべるように歩いた / 鈴木杏龍

31. たこ焼きの頬もつをみな虚ろなる眼(まなこ)みひらき新宿ゆけり /梶崎恭子

32. シャワー浴ぶ夜更けの弥生しずくして浜をたゆたう髪こそ思え / 太田賢士朗

33. 夕照に煉瓦の脚がにじみおり武庫川鉄橋電車の響き / 村田 馨

34. 明け方の雨もやさしく降りはじめ こじれた過去を解きほぐす春 / 村上 喬

35. 友はサクわれはチルとう電文を手に持ち春を惜しみ合いたり / 北村周一

36. なめろうを注文したら常連が目玉おやじを口々まねる / 織田れだ

37. 卓上の林檎に月の光射す真夜せいよくといふはせつなし / 高澤志帆

38. 長靴のなかにたまっている闇があふれるように足をしずめる / 木嶋章夫

39. 「畜生」と言えば寡黙に押し黙り左脳勝ちたり右脳の横に / 岡田悠束


なおこの記事にコメントはつけられません。
以前のコメント同様、それぞれの作品に関するスレッド直接お願い申し上げます。

なお3月28日の水曜日以降は、コメントは一切つけられなくなりますので、
書き込みはお早めにされますことをおすすめします。

次回第10回歌会は予定通り、5月開催予定(詠草募集は4月下旬より)です。
なお次回は題詠での歌会となりますので、同時に題の募集も行います。

歌会に対する改善案などもありましたら積極的にお寄せ下さい。
できる限り運営に反映させて参りたいと考えております。

次回もたくさんの方々のご参加をお待ち申し上げております。
ではもうしばらくの間、よろしくお願い申し上げます。
posted by 短歌人会 at 00:00 | TrackBack(0) | 第9回歌会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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