2012年05月05日

第10回ネット歌会詠草/20

富岡のひとの持ち来しぺらぺらの防護服みなで着まはしてみつ
posted by 短歌人会 at 00:13| Comment(4) | TrackBack(0) | 第10回歌会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この富岡は、富岡市ではなく、福島県双葉郡富岡町でありましょう。ここに東京電力福島第二原発があります。第一原発のほうが常にクローズアップされますが、こちらのほうも、たしか町役場が郡山に避難していたのではなかったでしょうか。

たしかに、あの防護服というのは、いかにもぺらぺらで、こんなもので放射線が防げるのだろうかと思うもの。ほとんど、紙だもの。

場面はよく解ります。

ところで、余計なことですが、福島第二原発は、富岡町と楢葉町に跨っていると思います。第一原発は双葉町と大熊町に跨っていたと思います。こういう町は、「平成の大合併」をしなかったのです。

原発銀座=福井県に暮らすものとして、いろいろ思うところがあります。
Posted by 西王 燦 at 2012年05月08日 19:38
「富岡」は私も「富岡製糸場」が一番に浮かんで、群馬県の「富岡市」かと思いましたが、
西王さんの解説で、福島県と知り納得しました。

「ぺらぺらの防護服」を「みなで着まはしてみつ」という場面に、とてもリアリティーを感じました。
また震災から1年が経ち、原発の問題はまだまだ何の解決にも至らないわけですが、
震災直後の悲惨な状況を詠ったものとは違う、この歌のような本当の意味で「悲劇性」を
あらためて感じられる歌におもわず立ち止まってしまいました。
Posted by 三島麻亜子 at 2012年05月10日 21:20
富岡のひとの持ち来しぺらぺらの防護服みなで着まはしてみつ

前評のお二人のコメントで、歌の説得力をより正確に感じられたように思います。

三句「ぺらぺらの」のオノマトペが、効いています。不安感、風刺が伝わってきます。
平易なことばをつかって、淡々と表現されている歌です。「防護服」以外に、特異なことばはありません・・・でも、ここで詠われたことが、現在の日本のなかにある現実、日常なのだと思うとき・・・読者は、この歌の背後に存在し、じんわりと迫る不安、恐怖の大きさに気付き、愕然とします。
Posted by 梶崎恭子 at 2012年05月12日 11:23
峻厳に、現実を歌にしておられて、恐怖に立ちすくみました。
Posted by 弘井文子 at 2012年05月12日 22:39

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