2012年05月05日

第10回ネット歌会詠草/12

伊那みやげのざざ虫煮付の肴にて酌めば美(うま)しよ目にも舌にも

※カッコ内はルビ
posted by 短歌人会 at 00:21| Comment(5) | TrackBack(0) | 第10回歌会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ザザムシとは、河川にすむカワゲラ、カゲロウ、トビケラなどの昆虫の幼虫を指す長野県伊那地方の方言。冬にこれら幼虫を捕えて佃煮にして食べる。写真で見る限り不気味で、とても食指は動かない。作者は相当のげてもの食いではないか。
Posted by 秋田興一郎 at 2012年05月06日 06:32
大抵の人が気持ち悪がる食べ物を前に、作者は「美しよ」と言い、さらにその最も気持ち悪いポイントをついて「目にも」「舌にも」とまで言っている。
なぜそこまで言うのかというと、作者は目の前にいる読者(もしくは一緒に酌んでいる人)にわざと見せつけるようにして食べて、その反応(おそらく気持ち悪がっている)を楽しんでいるからなのではないかと思いました。人間味のある歌だなあと思いました。
Posted by 鈴木杏龍 at 2012年05月13日 01:38
鈴木杏龍さんの評、
>その反応(おそらく気持ち悪がっている)を楽しんでいる…

を読んで、なるほどと思いました。結句「目にも舌にも」と言うダメだしに面白がっている気分が出てゐます。
特定の地域で食べられ続けてきたものは、そこから遠く離れ住む者にはいささかぎょっとしないことがありますけれど、食文化として残ると良いですね。

とは言え結句「目にも舌にも」は少しばかり、過ぎるかなぁ、と言う気がします。また二句「ささ虫煮付の」を「ざざ虫煮付を」とすれば、座りが良いような気がします。
Posted by 弘井文子 at 2012年05月16日 14:15
たまたま昨日の産経新聞に、長野支局長が「from Editor」でざざ虫のことを書いていた。長野で仕事をしているが、ざざ虫を食べることは知らなかった、聞いてびっくりしたという。地方の食文化の奥深さに思い至ったという趣旨の記事。今や高級珍味らしい。地酒を酌みながら食べると旨いので気味悪さが消えて見た目にも美味しそうに感じるのであろう。一度食べてみたくなった。
Posted by 秋田興一郎 at 2012年05月17日 10:57
コメントをいただいた皆様ありがとうございました。ざざ虫は秋田さんが書かれている通り高価な高級珍味で食べたいのですがなかなか食べられません。
「ざざ虫煮付の肴にて」か「ざざ虫煮付を肴にて」かについては考えたのですが「を」にした場合「ざざ虫煮付を肴にして」でないと座りが悪いように思い、それだと「肴にして」が六音になってしまい「ざざ虫煮付の肴にて」を取ったのでした。
Posted by 永井秀幸 at 2012年05月23日 17:41

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