この記事へのコメント
【選歌集計結果=5票】
【投票者=伊庭日出樹/大室ゆらぎ/勺 禰子/照井夕佳詩/村田 馨】
Posted by ネット歌会集計担当 at 2012年11月07日 09:14
「海原のかなたに生れて海原のはるかに果つるいちぢんの風」は、誰にも知られずに生まれては消えてゆく風です。この世界に起きていることのうち、人の目に触れることなく生じては消えてゆくものの何と多いことでしょう。この歌のスゴイところは、見たことや経験したことではなく、誰も見ることの出来ないものを詠っていることです。しかも抽象に傾いていない。景も大きい。この歌に詠まれたような風は今も海原を吹いては消えているはずです。
「一陣」という漢語をかなで表記したのは、「陣」という漢字の持つ原義と視覚的イメージから出来るだけ離れるためでしょう。「海原」の繰り返し、「海原」「かなた」の「な」、「はるかに」「果つる」の「は」「る」、「かなた」「風」の「か」の重なりと、音韻的にも優れていると思います。この歌は傑作です。
Posted by 大室ゆらぎ at 2012年11月09日 06:12
雄大な歌です。大室さんが詳述されておいでのとおり、魅力あふれる一首です。ただ、自分ならば結句のいちぢんは漢字にするでしょう。硬質感を保ったまま締めたいですが、ここは意見が別れることと思います。
Posted by 村田馨 at 2012年11月09日 23:45
評を入れた歌の次に良いと思った歌でした。大室さんのコメントを読ませていただきさらに良く思えてきました。
Posted by 永井秀幸 at 2012年11月15日 16:20
大室さんの絶賛に少々たじたじですが、生成消滅の秘密を雄大に眺めていい歌だと思いました。「いちぢん」については、村田さんに同意です。もしも「陣」のイメージを避けたければ、別の言葉にした方がよかったように思います。。が、言うのは簡単で別の言葉を述べよと言われればとても難しいのですが…。
「海原」「生」「果」「風」の中に「一陣」の漢字があっても、歌の雰囲気を壊さないと私は思います。
Posted by 勺 禰子(しゃく・ねこ) at 2012年11月26日 03:17
感じ方は人それぞれだとは思いますが、私も私なりにこの歌はいい歌だと感じて一票入れました。最後にさりげなく「いちぢんの風」を持ってきたところが特に素敵だと思います。
Posted by 照井夕佳詩 at 2012年11月30日 20:02
選歌、そしてコメントくださった
伊庭さん、大室さん、村田さん、永井さん、勺さん、照井さん、
どうもありがとうございました。

情景が雄大すぎて頭の中だけで作った歌、という批判があるかなと少し危惧していました。
(大室さんのコメントに圧倒されて遠慮された方がいたのかもしれませんが……)
実は、海原といった自然とは全然無関係のある意外な素材がまず念頭にあって
それをこのように雄大な情景に展開できたという
具体がまずあったというのが結果としてよかったのかもしれません。

「うなばらのかなたにあれてうなばらのはるかにはつるいちぢんのかぜ」
と全部ひらがな表記にして、意味よりむしろ韻律の心地良さを
前面に押し出した1首として出詠することも考えましたが、
「海原」「風」「生」「果」を漢字表記にすると漢字とひらがなのバランスがちょうど良く、
視覚的にも1首の海原の中をひらがなが風のように生まれ、吹き、果てるイメージが
なんとなく表現できているように思えました。
村田さんと勺さんの「一陣」と漢字表記したほうが良いというご指摘、
僕は「いちぢん」の表記を採りますが、表記については本当に苦心するところですね。
 
Posted by 伊波虎英 at 2012年11月30日 23:55

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