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2013年11月01日
助手席の函に黙示の「片翅の蜂七匹」を放せと夢に
【選歌集計結果=1票】
【投票者=藤原龍一郎】
posted by 短歌人会 at 00:24|
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「助手席の函」に何かを黙示的に示す「片翅の蜂七匹」が入っている、それを放せと告げる声を夢に聞いた、ということでしょうか。
あるいは、何かを黙示的に示す「片翅の蜂七匹」が何処かにある、それを放せと告げる紙片が「助手席の函」にあったという夢だったのでしょうか。
「助手席の函に」を「助手席の函なる」とすれば、前者の意味に確定できると思いますが、語のつながり具合がいまひとつわからない、という感が残りました。
それと、「夢」の歌についてはよく言われることですが、最後に、以上は夢でした、と言ってしまわない方がいいように思います。なんらかの不全感から解放されたい、という思いがこのような夢として表れたのだろう、というように夢判断的な詮索の方向へ読んでしまいやすいという問題も生じると思います。「夢」とは言わず、不思議な世界を不思議なままに詠んだ方が魅力的な歌になるのではないでしょうか。
最後に夢というとそれまで描写したことは不可思議ですが夢でしたこれでおしまいとイメージが取り消されてしまう気がします。
そのうえで鑑賞。
「片翅の蜂七匹」の暗示するものがわかりません。
黙示とあるのでどこかの黙示録にこういう記述があるのかと。
それが解るともっとこの歌に近づけるのですが。
難解なお歌で小道具をヒントに読ませて頂きますね。
蜜蜂が、原因不明で世界中からいなくなってきていると数年前からいわれていますが、
筆者はそのことを生態系の危機と考えている養蜂家でしょうか。あるいはそういう事を知ったか聞いたかして憂慮しているのではないでしょうか。
全く知らなかったのですが、女王蜂にマーキングして片翅だけ切り羽するそうです。
そうすると分蜂しても女王蜂が長距離を飛べないので近くに蜂球をつくるそうです。
ここでは神の啓示のように七匹の蜂に思いを委託しているのではないでしょうか。
宗教的には、黙示録や十二使徒を連想しますが、小道具が多くて一つ一つの言葉の斡旋が
重くて、最後に夢だよと終るのは惜しい気がします。
だけど、悲鳴をあげそうに何かを訴えたいことは充分につたわってきます。