この記事へのコメント
今回の30首は、コロナ禍を背景として詠まれた歌が3分の1程度に達します。自由詠でこの数は極めて多く、如何にこのウイルスが社会全体に影響を及ぼしており、いまなお真只中にあるということだと思います。
改めて5月号の特集「時事詠に秀歌はあるか、ないか」を読み返したいと思います。

さて20番のこの一首も、やはり今年の春の異常さを詠んでいます。私が小学生だった昔はポケットティッシュなるものがなく、ザラザラのちり紙を折りたたんでティッシュの代わりに学校に持って行ったものでした。
今年は、新学期がなかなか始まらなくていまだに正常な状態とは程遠いものです。
上句の「ちり紙のばらこさえたる」は今の時代の方には想像できないでしょうが、私には実感としてわかります。
下句の「さらさらとほし」もよく言い得ており、遠い昔を思うこころと、新学期がなかなか始まらない思いが込められていると思います。
重いことを詠んでいるのですが、抑制された絶妙の言葉選びが爽やかささえ感じさせる、すぐれた歌だと思いました。
Posted by 肥塚しゅう at 2020年05月13日 09:49
声に出すととても音の響きが良い歌と好感を持ったのですが、意味がよく分からず資源回収を詠んだ歌なのだろうか?と思っていました。
肥塚しゅうさんのコメントで、そういうことなのかと納得しました。
過去の思い出の中の学校生活と、今現在のウイルスの影響で始まらない学校が対比を味わい深く読みました。
Posted by 庭鳥 at 2020年05月13日 19:07
学校の式典があるたびに色とりどりのちり紙を縛ってバラの花のように作り、会場を飾ったものでした。小学校の高学年になるとその準備を手伝えることが誇らしくもありました。
今年は入学式すらやれなかったり、やれても在校生は参加できなかったりと残念な年になりました。
作者の方は、手作り感満載の式典を懐かしんでいるのと、今年の新型コロナウイルスによる自粛の両方を仰りたいのではないかと思いました。懐かしさがこみ上げてきます。
Posted by 鎌田章子 at 2020年05月21日 17:40
鎌田さん、
なるほど「ばら」が「バラの花」とは気づきませんでした。鎌田さんの読みですと、学校の先生・職員か児童の父兄の思いを詠んだ歌なのですね。
私の読みは、自分の実体験でしか考えらえれませんでしたので、自身の何十年前の回想として捉えてしまいました。とんだ「バラ違い」でした。
Posted by 肥塚しゅう at 2020年05月22日 07:40
追加です。
「こさへたる」の「こさえる」は、「こしらえる」の音変化(俗な言い方)で、埼玉の方言、博多弁などの説があるようです。
誤読を呼ばないように、「こさへたる」の言葉えらびに一考の余地がありそうだと思いました。
それにしても、票を入れた二人(私と鎌田さん)で、読みが異なることは面白いですね。
Posted by 肥塚しゅう at 2020年05月22日 08:00
ちり紙のばらこさへたる新学期さらさらとほし今年の春は

最初全然歌意がつかめず、「こさえる」を方言辞典で調べましたが、出で来ず、広辞苑で「拵える(こしらえる)」の音変化とわかりました。
その後肥塚さんのように読んだものの、下の句が「さらさら遠し」なのか
「さらさらと干し」あるいは、「さらさらと欲し」???花粉症?となり、しらべがいいものの読みが混乱しました。
鎌田さんの評で、「ちりがみのバラ」とわかり、そういう歌意だとわかりました。難解でしたが今の状況と感慨をよくとらえた一首でした。
  作者名発表後、作者にお伺いしたいです。
Posted by 西五辻芳子 at 2020年05月24日 02:43
肥塚しゅうさま、庭鳥さま、鎌田章子さま、西五辻芳子さま、コメントをありがとうございます。

小学校の情景を詠むために、ひらがなを増やしたのが分かりにくかったようです。
せめて「バラ」とカタカナを混ぜるべきだったかもしれません。
にもかかわらず、丁寧に読み込んでくださり、ありがとうございます。
過去と現在を同時に詠んでいることも分かっていただけて、嬉しいです。

「ちり紙交換」くらいでしか聞かなくなった「ちり紙」を、ティッシュ不足で思い出し着想しました。
「ちりし」と読めるようにしたかったのですが、字数を合わせられませんでした。

肥塚さんや西五辻さんの仰る通り、「こさえ(へ)る」は「拵え(へ)る」の音が変化したものです。
色んな地域で、方言のように使われてきたようです。
ふるさとの思い出を匂わせたくて、拙歌に取り入れました。

「さらさら(に)」は『萬葉集』からです。推敲中にふっと浮かんで、使ってみたいと思いました。
「とほし」が続くと分かりにくいかと案じていましたが、果たして…西五辻さん、申し訳ありませんでした。

作者の思い入ればかりでなく、読者の立場で作歌する大切さを、教えていただきました。
評者、読者、企画者の皆さま、ありがとうございました。
Posted by 川上幸子 at 2020年05月30日 15:25
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]