この記事へのコメント
4句目に「仰ぎ見た」を持ってきたところがこの歌の優れた部分だと思いました。
悲しい気持ちのまま、視線を下から上に移動させたわけですが、この視線の表現を「仰ぎ見」るとしたのが素晴らしい。もちろん、主体の心象の比喩としても読めます。
三句と四句の間には、何らかの省略があるですが、写実的に「それを言った人を仰ぎ見た」ととってもいいし、擬人法として「その言葉を仰ぎ見た」ととってもいい。
いずれにせよ、ここの省略が、詩的な膨らみを持たせていて、それを実に効果的に配置した歌でした。
Posted by 桑原憂太郎 at 2020年05月14日 19:18
「働けば自由になる」の言葉で、ナチスの強制収容所のことを言っているのだなとすぐ分かりました。
実現しなかったのですが、昔ポーランド旅行を計画していた時期があり観光予定地の候補にアウシュヴィッツ収容所の事を調べたことがあります。
強制収容所の門のところに「働けば自由になる」の言葉が掲げられていたが、実際はガス室で殺されたり厳しい労働で命を落としたそうです。
おそらく作者は現地に行って収容所を見学したか、行かなかったとしても悲惨な歴史を調べて大きな衝撃を受けたのだろうと感じました。
Posted by 庭鳥 at 2020年05月15日 07:30
強制収容所に掲げられた「働けば自由になる(Arbeit macht frei)」は悪名高いスローガンとされ、「悲しくて」はその結末が報われなかった過酷な労働を想起しているものと思います。
「仰ぎ見た自分」とは、そのスローガンを文字通り信じて尊いものと思っていた頃の自分のことでもあるのでしょう。
結句の「責めたくなって」とは、自分の浅はかさを後悔している様子でしょうが、どこかいまの自分への自愛の念ややさしさも感じさせます。
「悲しくて」と「責めたくなって」の「て」の重なりがリズム的に少し違和感を感じますが、一首全体での作者(作中主体)の心象はよく伝わってきて、よい歌だと思い三首選に採りました。
Posted by 肥塚しゅう at 2020年05月15日 08:57
桑原様、肥塚様、庭鳥様、評をありがとうございます。選を下さった間さんにもお礼申し上げます。

これはドイツ・ダッハウの強制収容所に行った時のことを詠ったものです。観光気分で行って打ちのめされたことを思い出しました。そもそも、この悲惨なことを観光というか見学で消費していいのかと思ったことが発端です。
久しぶりにドイツ、オーストリアに行きたいなあと思ってたのですが、この状況ではしばらくは無理そうです。

そして、当時私がみた"Arbeit macht frei!"の鉄扉が盗難にあったというニュースがありました。

https://www.afpbb.com/articles/-/3030683

今後ともどうぞよろしくお願いします。
Posted by 橋小径 at 2020年05月28日 11:27
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]