古井戸に花筏ありて水底にひとひらごとの沈む順あり
【選歌集計結果=6票】
【投票者=冨樫由美子/亀尾美香/川上幸子/木嶋章夫/岩下静香/高良俊礼】
【投票者=冨樫由美子/亀尾美香/川上幸子/木嶋章夫/岩下静香/高良俊礼】
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古井戸の上から花筏を見ている視線が、ひとひらごとに沈んでいく順が見えているのかという疑問です。ここは作者の思念と思われ、採れませんでした。
花びらは一時にたくさん散りますが、水面から沈むのは、落ちた場所や時間によって(花筏は幾度かの落花によって出来たかもしれません)、おのおの違う時だと思われます。それぞれに長い時を経て沈んでゆくのでしょう。まさに沈みゆくひとひらに、ふと目が留まって類推されたのかもしれません。
古井戸の水面を境に、落花の動と沈降の静、一時と長い時間とが対比されているようで、美しいです。心の中の情景かもしれませんが、歌ならではの美しさだと思います。
じっと古井戸をながめている作者の鬱屈した感情と下の句がよく出来ている一首だと思いますが、たかださんの評と同じで採れませんでした。
「花筏」の季語としての斡旋が最適でなく筏というからには流れがないと違和感を感じます。
「ママコノキ」というミズキ科の落葉低木の花で「花筏」というまぎらわしい季語があるのですが、山地に自生する木なのでこれではないなら、「落花」として詠むべきだと思います。「散る花」や「散る桜」や「飛花浮くさまを」等色々推敲できます。二句切れ三句切れも歌の流れがよくないと思います。