2022年02月08日

第48回ネット歌会詠草/11

燈心となること実にむずかしく燃えねばならず燃えてはならぬ


【選歌集計結果=8票】
【投票者=五十嵐真希/伊藤まり/鎌田章子/亀尾美香/寺阪誠記/西五辻芳子/野崎挽生/光本 博】
posted by 短歌人会 at 00:16| Comment(5) | 第48回歌会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
燈心(のような)存在になることはまことに難しいものだ。傷つくのを恐れて火を恐れていてはいけないし、火によって自分が燃えつきてしまっは元も子もない。

そういう生きていく上での機微といいますか、バランス感覚を発揮するのは非常に難しいことだという思いの喩として興味深く拝読いたしました。
Posted by 光本博 at 2022年02月13日 19:36
今回の中で一番好きなお歌です。
まずは「燈心」という言葉の風情に惹かれます。
そして、下句の「燃えねばならず燃えてはならぬ」にハッとさせられます。
簡潔かつ抑制のきいた表現で、燈心の持つ本質的な性格が言い当てられています。
文面どおりの意味でも面白く、人生の匙加減のむずかしさの暗喩としても味わい深いと思いました。
(個人的には、例えば何らかのプロフェッショナルが常に情熱を持ちながらも冷静に活動する姿を思い描きました)
Posted by 伊藤まり at 2022年02月14日 22:45
毎朝、燈明をあげています。
この歌を読んで、まさしくこの通りだと感じました。
蝋燭が爆発もせず燃え尽きるまであかりを灯し続けることは燈心と蝋との絶妙の働きによるもの。ルチーン作業だった朝のお参りもちょっと目線を変えてみようと思いました。
この歌は人生にも通じる読みができますね。
両方の取り方ができるのが、皆さんの心に響いたのだと思いました。私の師が、叙景歌であっても人間の心を映すことが出来ると言っていました。そのような歌を作りたいと思いつつ、なかなか出来ないのが残念です。
Posted by 鎌田章子 at 2022年02月16日 09:34
燈心となること実にむずかしく燃えねばならず燃えてはならぬ

燈心は火を燃やすためものでありながら、自らが燃えてはいけないものである、という「発見」が手柄の一首だと思います。燈心のことを言いながら、読者は自ずとそこに人間のあり方を思わずにはいられない。そういう深みのある歌なんですが、「実にむずかしく」の「実に」や、「燃えねばならず燃えてはならぬ」の調子の良さにどことなく芝居がかった感じがあってユーモラスな雰囲気を醸し出しています。なので、内容は深みがあるんですが、それが重々しくはなっていない、そんなところも良い歌だなあと思いました。
Posted by 寺阪誠記 at 2022年02月19日 15:38
光本さん、伊藤さん、鎌田さん、寺阪さん 丁寧な読みとコメントをありがとうございます。

どのように読んでいただいても嬉しい歌ですが、出発点は鎌田さんのおっしゃるように毎朝のお燈明でした。燈心は火をつける際、まるで一瞬は灯ることを嫌がるかのようにしているのに火が付いたら消すまで静かに燃えています。(どうでもいいのですが消し方もうまくなりました)
ローザ・ルクセンブルクが"Eine Kerze, die an beiden Enden brennt."(両端から燃える蝋燭でありたい)という言葉を残していますが、初めて聞いた時は「火事になるよ!」って思ったけど意外とひたひた燃えているのかもしれません。

これからもどうぞよろしくお願いいします。
Posted by 橋小径 at 2022年03月09日 17:53
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