2022年02月08日

第48回ネット歌会詠草/9

風なくて動かざるとて冬の木にうねるばかりのいのちがかよふ


【選歌集計結果=4票】
【投票者=五十嵐真希/海老原春樹/生沼義朗/川上幸子】
posted by 短歌人会 at 00:18| Comment(3) | 第48回歌会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
風なくて動かざるとて冬の木にうねるばかりのいのちがかよふ


風が吹かず小枝ひとつ動かないとしても、
冬の木にはうねるような命が通っている
―しずかで力強い一首だと思います。
「うねるばかりの」が木の内部に通う息吹、
あるいは樹液をありありと感じさせ、
力強い樹形まで表しているようです。

実は「がかよふ」を「かがよふ」と読み誤っていました。
命輝く、の意だと思ったのです。
命が通うだと、動きを強調することになりますね。

むかし教科書か何かで読んだのですが、
今の時期、たとえば桜木の幹の内部には、
輝かしい薄紅色の樹液が満ちているそうです。
命の色がすでに準備されているのですね。

樹木のみを淡々と歌っているようでいて、
近い未来への希望を感じさせる一首です。
Posted by 川上幸子 at 2022年02月26日 19:54
葉を落とした冬の木が春に向けて着々とエネルギーを内部に蓄えている様子は、いろいろな詩や歌に詠われていますが、この歌は、上句からどっしりと構えている木の力強さが、ひらがなだけの下句からは弾むような命のうねりが感じられました。明るさもあり、1票をいれました。
Posted by 五十嵐真希 at 2022年02月27日 16:02
わたしも一首全体の力強さに惹かれ一票入れさせていただきました。
この歌を何度も読むうちに、上句の内容から、冬の木が実際に目の前にあるのではなく、写真や映像が対象で、かつ写生の内容に読ませて、写生の概念を問うようなことにも挑んでいるようにも感じました。
わたしは韻律も、下句の平仮名表記も写生として受け止めたほうが味わい深いものがあり、
楽しく読ませていただきました!
Posted by 海老原春樹 at 2022年03月11日 19:37
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