2022年02月08日

第48回ネット歌会詠草/7

三年前生まれた君は先生の顔の上半分しか知らない


【選歌集計結果=6票】
【投票者=海老原春樹/鎌田章子/川井怜子/楠 歌恋/庭 鳥/吉岡生夫】
posted by 短歌人会 at 00:20| Comment(6) | 第48回歌会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
誕生日を迎える度に、そのことを歌にしたのは茂吉が有名です。文明にも有名な歌があります。
短歌は五章節の短い詩ともいえ、日本語が短く凝縮されているので、どうしても細かく正確に受け取らざるを得ない。
「3年前生まれた君」とあるので、この歌の作中作者はおそらく女性で、3歳にになったばかりの男の子のことを詠んだ歌ととりました。
そして、「3年前生まれた君」というのは、その日に3歳になったととれます。コロナ禍が始まって2年近く経つので、この子が保育園に通っていて、0歳から通っている可能性が高いと考えると、最初の一年足らずは、保育士の先生は多分マスクをしていなかったと考えられるので、その間の先生の顔をぜんぶ見ていた、覚えていると考えられます。ということで「知っている」が正解、ということになり、この歌は正確に作られてはいない歌ということになります。1歳になったあとの4月から保育園に通ったとしたら、間違いではありませんが、その確率はかなり低いとおもいます。
表記的には「3年前」のあとに助詞の「に」を加えたいです。
Posted by 山寺修象 at 2022年02月14日 22:06
コロナ禍で大人はほぼ全員マスク着用している現在を詠んだ歌だと思います。「顔の上半分」でマスク着用とすぐにわかります。
山寺さんが指摘されているように、三年前の生まれたばかりのときはマスク不足もありマスク着用していない人がそれなりにいたので……とは思います。
でも「先生」が何者が分からないので、断言はできません。
三歳児が先生と呼ぶような関わりある相手だと、保育士のほかに医師も考えられます。
医療関係者ならばコロナ禍の初期からマスク着用していて、生まれてすぐの段階からマスク着用の先生しか知らないと言うのも成り立つように思いました。
Posted by 庭鳥 at 2022年02月15日 06:43
昨今は育児休業を1年取る人が増えてきました。このお子さんは1歳で保育園デビューをしたのでしょう。その頃はもうコロナでマスクをしているのが当たり前になり、保育で顔が見えないのは問題ではないかと言われながら感染対策を優先しなければならなかった現場の苦悩も思われます。
「三年前」に「に」を補うという意見に私も賛成です。柔らかい感じが出てお子さんに対する目線が感じられる気がします。
Posted by 鎌田章子 at 2022年02月16日 08:55
あるある気づきの歌と思って一票入れました。
評者皆様がおっしゃるように「先生」はやはり言葉足らずのような気がします。
大幅な字余りになっても例えば「みーちゃんせんせい」(保育園の場合)とか「久保医師」などと具体的にはっきりさせる方がよいと思いました。
Posted by 川井怜子 at 2022年02月22日 10:22
私は、育児に不安を抱えている方の歌ととりました。「先生」のイラストを上半分だけしか描けなかった。あるいは、直接、「先生」の顔を「上半分しか知らない」と言ったのか。「先生」に申し訳ないのか。子の発育、将来が心配なのか。
具体的な記載がないのは、嘆きの心理からなのか。
想像を掻き立てる一首。
Posted by 海老原春樹 at 2022年02月25日 16:14
山寺様、庭鳥様、鎌田様、川井様、海老原様
丁寧に読み取って評していただき、誠にありがとうございます。

現在3歳の息子は、1歳半で保育園に入園しました。コロナ禍下、初回の緊急事態宣言が解除された直後でした。
ご指摘いただいた通り、0歳で入園している場合など、計算が合わないと読まれる可能性は感じておりました。個人的には、「この子や同世代にとって、自らの足で歩き始めた1歳過ぎには既に社会はコロナ禍下にあり、そのままの状況で今春には年少さんになる」という驚きを歌にしたかったため、「三年」という言葉を入れておりました。
「三年前」の後ろに「に」を補うこと、より自然で柔らかくなるため、ぜひ取り入れさせていただきたいと思います。
「先生」については、庭鳥さんに書いていただいたとおり、医療従事者(もしくは習い事の先生)などとしても読めるように抽象的にしていましたが、皆様の評を読んで確かに属性もわかるようにはっきりさせるほうが効果的だと思えてきました。

前回初めてネット歌会に参加させていただき、今回はようやく流れに少し慣れてきました。提出した一首を様々な角度からこれだけ丁寧に読んでいただけること、本当にありがたい機会だと思います。運営してくださっている皆様にも改めて感謝申し上げます。
Posted by 伊藤まり at 2022年03月09日 23:29
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