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もう会へぬあなたの南京終町(みなみきやうばてちやう)いつも夕(ゆ)焼けのなかにある街


南京終町は難読地名ですが奈良の平城京の東端に位置し、平城京の果てという意味に由来

するそうです。ちなみに京都では京極のことを京終(きょうはて)ともいいます。

亡くなられたのか失恋したのか作中主体との関係性が明確ではないのですが、もう会えな

いあなたがいつも話してくれたあなたのふるさとの南京終町は私のこころのなかに美しい

夕焼の街として想いおこされるという歌意とうけとめました。

不思議なひびきの良い一首で印象に残りました。
Posted by 西五辻芳子 at 2022年08月27日 06:52
奈良に住んでいたことがあります.もう7年も前のことです.
南京終町は隣町でして,完全に生活圏内でした.本作と出会って久しぶりにGoogle Mapのストリートビューなどを見て懐かしんでおります.
南京終町という,多くの人が知らないであろう町をすっと作品に取り込むことから,作者は何らかの形で奈良市とゆかりがあると思われます.

さて,本作.「あなたの南京終町」はあなたが(住むまたは住んでいた)南京終町ということでしょう.「いつも夕焼けのなかにある」とは何でしょう.夕日が生駒山に沈む南京終町の夕景は味わいがありましたが,そこまで絶景として記憶に残るものではなかった.
と,なると夕焼けの時間帯にいつも「あなた」と逢瀬を重ねていたと解釈するのはいかがでしょう.
離別か死別かわかりませんが,「あなた」との大切な時間がいつまでも記憶からぬぐい切れない作中主体の切なさを感じ取りました.
Posted by 村田馨 at 2022年08月29日 12:52
初めて読んだ時には「南京終町」のイメージが浮かばなかったのですが、お二人のコメントを読み、古都・奈良らしい趣のある地名だと感じるようになりました。すると、固有名詞の持つ力により、下句の「いつも夕焼けのなかにある」という非現実的な美しさが一層胸に迫ってきました。
「あなた」との関係性ははっきりと描かれていませんが、街について語る形をとることで、もう会うことのできない「あなた」への切ない思いが引き立っていると感じました。
Posted by 伊藤まり at 2022年09月02日 09:18
もう会へぬあなたの南京終町(みなみきやうばてちやう)いつも夕(ゆ)焼けのなかにある街
 
「もう会へぬ」は常識的には「あなた」にかかるんでしょうが、この歌では「南京終町」にまでかかっているように見えます(おそらく意図的なのでしょう)。「あなた」との思い出が深く「南京終町」に関わっているので、町まで擬人化されている感じでしょうか。
「もう会へぬ」から「終」、「終」から「夕焼け」と文字から立ち上がるイメージがゆるやかに連関していて、技巧を感じました。
Posted by 寺阪誠記 at 2022年09月03日 17:40
西五辻様、村田様、伊藤様、寺阪様
コメントをどうもありがとうございます。
(リコメ締切日を20日と勘違いしていて、お返事が遅れて申し訳ありません)

南京終町には実は行ったことがありませんが、南京終町行きのバスをよく見かけました。
どんな町だろうと見るたびに思っていました。

「あなたの南京終町」というフレーズが歌謡曲のようかもと不安だったのですが、
かえって一首に物語性を与えてくれたようです。

このようにフィクションも交えた歌ですが、ここに籠めた別れの切なさは本当のことです。
そこを汲んでくださって、ありがとうございます。
皆様の読みの力、地名の力、短歌という器の力に感じ入りました。

今さら行くこともないと思っていた南京終町、ストリートビューで訪ねてみましょうか。
Posted by 川上幸子 at 2022年09月19日 10:57
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