腹切りの歴史を辿る本を閉じ壁の暦の赤が目に入る
【選歌集計結果=6票】
【投票者=伊藤まり/かわすみ暁/生沼義朗/村田 馨/山寺修象/吉浦玲子】
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「腹切りの歴史を辿る本」という表現は、すこしまだるっこいように僕には感じられます。例えば「日本切腹史」とか「切腹の歴史を辿る」とか、本の正式タイトルはあるはずなので、出した方がよりリアリティが出そうです。
「壁の暦」は、現代の都会生活ではもう殆ど見られなくなりましたが、僕の九州の実家では、地元のある企業から毎年届くので、ずっと「壁の暦」がある生活でした。やはり地方都市での生活のリアリティが感じられます。(東京でも老舗や下町や浅草などでは、見かけられるのかも知れません。)
「〜の赤が目に入る」で一首を絞めておられますが、作者の言いたいこと、伝えたいことは、ほぼ全て表現できているとおもいます。赤は日曜か祝日(その他)の色でしょうか。その赤と血が直接つきすぎているとおもいます。短歌は、全て言ってしまっては、余韻が少ない作品になるので、下の句(とくに結句)では、作者が言いたいことをグッとこらえて、一番伝えたいことは、全部いうのではなく、直接は言わないで感じさせる構造で作りたいものだと、僕は考えます。
「壁の暦」は本を読む前からそこにあったはずですが、血生臭い歴史について読んだあとで、改めて「赤」が目につくようになる。人間の繊細な感覚の変化を捉えていて、良い歌だと思いました。
ただ、前評者もおっしゃっているように腹切りと「赤」はややつき過ぎかと思います。
「腹切り」と「暦」の取り合わせは面白いなと感じました。
この歌は作者の認識したプロセスに沿って描かれていて、そこは説得力があると思いましたが、確かに「腹切り」と「赤」が即き過ぎというのは指摘されるところでしょう。
山寺さんも触れておられますが、本のタイトルを入れた方が私もよいと思いましたし、日曜や祝日という言い方でも「赤」のイメージは充分立つので、直接言わない方がよかったかもしれません。
コメントありがとうございます。大変勉強になりました。
たしかに「腹切り」と「赤」がつき過ぎているというご指摘は、なるほどと思います。
「腹切り」=「harakiri」のイメージがあるというのも貴重なご意見でした。
なるほど、英訳ではharakiriの方がメジャーなんですね。
書名を出した方がいいというご指摘も、たしかにその方が具体が伝わりやすいと思います。
ちなみにタイトルは「切腹の歴史」です。
一方で「辿る」という語により、上と下を結ぶ主体の視点の動き(本→壁)を表したいという意図もありました。
そこらへんの何を優先するかの選択は、難しくておもしろいところです。
皆さまのご意見、参考にさせていただきます。ありがとうございました!